遺言書は若い人ほど書いておいた方がいい⁉

掲載日:平成31年2月4日 最終更新日:令和2年6月4日

若い人ほど万が一に備え、遺言書を書いておくべきです


若い方ほど遺言書を書いておくことをお勧めします
若い方ほど遺言書を書いておくことをお勧めします

若い人ほど遺言書を書くべきである、私は常々そう思っています。

結婚した、家を買ったなどといった人生の大きな節目を迎えた場合にはなおさらです。

 

ではなぜ若い人ほど遺言書を書くべきだと思うのか、若い人というのは以下のケースに該当する場合が多いからです。

① 結婚しているがまだ子どもがいない

② 結婚して子どもがいるが子どもがまだ未成年

 

こういった場合に万が一のことがあったらどうなってしまうのかとあわせて、遺言書を書くことの有効性を説明しておく必要があるでしょう。

 

少々高度な話にはなりますが、以下で詳しく説明していきます。

遺言書を書いていなかったらどうなる?


結婚しているがまだ子どもがいない場合

まずは、上記の①結婚しているがまだ子どもがいないケースについて説明していきます。

 

結婚はしているが子どもがいないという方が亡くなった場合、相続人となるのは配偶者(夫or妻)だけではありません。

亡くなった方の直系尊属(両親や祖父母)も、配偶者とともに相続人となります。

 

ですので、遺産をどのように分け合うか、相続人全員で話し合う必要があります(遺産分割協議)。

そして、協議内容を遺産分割協議書として書面にしたため、相続人全員が実印で捺印し、印鑑証明書も準備をしなければ、不動産の名義変更や預貯金の解約をすることはできません。

 

もし直系尊属が亡くなっていれば、亡くなった方の兄弟姉妹が相続人となります。

兄弟姉妹と話し合い、遺産分割協議書を作成する必要があります。

 

これは遺された配偶者にとってはかなりの負担となります。

関係性が良好であればまだいいでしょうが、そうでなかった場合には争いとなってしまう可能性も否定できません(仮に関係性が良好であったとしても、遺産のこととなると争いになるということも珍しくはありません。いわゆる「争族」というやつです。)。

 

ですが、もし亡くなった方が生前に「配偶者に相続させる」旨の遺言書を書いておけば、亡くなった時点で遺産は配偶者のものとなり、話し合いをする必要がなくなります。

 

不動産の名義変更や預貯金の解約も遺言書を利用してすることになりますので、配偶者の方の負担は大きく軽減されます。

結婚して子どもがいるが子どもが未成年の場合

次に、上記の②結婚して子どもがいるが子どもがまだ未成年というケースについて説明していきます。

例を挙げたほうが分かりやすいので、例を挙げてご説明します。

 

まだ若いAさんが不慮の事故で亡くなり、配偶者であるBさんと幼い子のCさんが遺されたとしましょう。

この場合、Aさんの相続人はBさんとCさんになり、Aさんの財産を法定相続分とは違った分け方をするには話し合いをする必要があります。

 

ここで問題が出てきます。

 

Cさんはまだ幼い子どもですので、遺産について話し合うことは当然できません。

かといって、ここで親権者であるBさんがCさんの代わりに話し合いをして遺産分割協議書を作成するということになれば、実質Bさんが一人で行うことになってしまいます。

 

Bさんには、Aさんの相続人としての立場とCさんの代理人としての立場が併存することとなり、この二つの立場は利害関係にありますが、実はこういった親権者と子どもの利益が相反する行為(利益相反行為といいます)は法律で禁止されています。

 

ではどうするのかというと、子どもにつき特別代理人と呼ばれる者の選任を家庭裁判所に請求したうえで、その特別代理人が子に代わり話し合いをすることになります。

 

ちなみに、話し合いの内容がどういったものであれ、特別代理人を選任する必要があります(遺産をすべて子どもにに相続させるという内容であっても)。

かなり面倒な手続きですし、特別代理人が選任されるまで時間もかかります。

 

ですが、亡くなった方が生前に遺言書を書いておけば、話し合いをする必要がないため、特別代理人の選任も当然する必要はありません。

 

亡くなった後の手続きというのは総じて大変なものです。

遺言書があるのとないのとでは、負担は大きく変わってくるといえます。

若い人は自筆証書遺言で十分でしょう


若い方には自筆証書遺言をお勧めします
若い方には自筆証書遺言をお勧めします

遺言書を書くことの有効性は十分ご理解いただけたとは思いますが、遺言書は主に自筆証書遺言公正証書遺言の二種類に分けられることを説明しておきます。

 

自筆証書遺言とは、手書きの遺言書のことをいいます。

公正証書遺言とは、公証役場というところで作成される遺言書のことです。

詳細を知りたい方はこちらのページをご覧ください。

遺言書の種類とそのメリット・デメリット

 

そして、まだ若い人については、自筆証書遺言を選択するのがいいでしょう。

一番の理由は、書き換えが容易なことです。

 

若いうちは、子どもができたり子どもが増えたりといったように相続人に変化がある可能性もありますし、将来の財産にも変化があるでしょう。

また、お気持ちの変化というのもあるかと思います。

 

自筆証書遺言であれば、新しい内容の遺言書を書けばいいだけなので、変化にも対応がしやすいです(公正証書遺言だとその都度公証役場で手続きということになりますので面倒ですし、費用負担も大きくなります)。

 

ちなみに、平成31年1月13日より、自筆証書遺言の要件が一部緩和されました。

 

これまでは、遺産についての記載(財産目録といいます)についても手書きでなければなりませんでした。

しかし、この度の法改正で、財産目録についてはパソコンで作成したり、不動産については登記事項証明書(いわゆる登記簿謄本)、預貯金については通帳のコピーを添付すればいいということになりました。

 

自筆証書遺言の作成がぐっと楽になっています。

ぜひ皆さま、遺言書の作成を検討されてみてはいかがでしょうか?

必ず専門家に相談するようにしてください


自筆証書遺言の作成を検討している方に向けてアドバイスさせていただきますと、自筆証書遺言は専門家に相談したうえで作成するようにしてください。

 

自筆証書遺言は法律上の要件があり、そのいずれかでも欠いていると無効になってしまいます。

また、書き方にも気を付けないとさまざまな解釈の余地を残してしまい、争いになることもあります。

 

せっかく遺言書を作成しても、無効であったり内容が不十分であれば意味がありません。

多少の手間と費用はかかっても、専門家に相談したうえで確実な遺言書を作成すべきです。

 

司法書士池部有哉事務所では、遺言書作成に関するご相談をお受けいたしております。

遺言書を作成したいという方に向けたサポートもいたしておりますが、ご依頼の際は直接の面談が必須です。

 

ただ、遠方の方でも、遺言書を作成すべきかどうかや、自筆証書遺言の法律上の要件についての質問といった程度であれば、ご相談をお受けいたします。

 

オンラインでの面談やメールでご相談いただけますので、よろしければご利用ください。

 

【追記】

LINEで遺言書が作成できるというサービスがあるようですが、こちらに法的効力は一切ありません(一応法的効力はないという注意書きはあります)。

専門家から言えば、法的効力のない遺言書は無意味です。

利用されるのはあまりお勧めいたしません(相続人間で仲良くするようにとか、そういったことを伝えたいだけであれば別ですが...)。