子どもは、法律上「嫡出子」と「非嫡出子」に分かれます。
言葉自体は聞いたことがあるという方もいるでしょうが、実際にどのような違いがあるのでしょうか。
今回は、嫡出子と非嫡出子の相違点、特に相続における扱いの違いについて解説していきます。
嫡出子とは、法律上婚姻関係にある男女の間に生まれた子のことをいいます。
一方で、法律上婚姻関係にない男女の間に生まれた子のことを非嫡出子と言います。
法律上婚姻関係にあるかないか、が分かれ目です。
ですので、いわゆる事実婚や内縁関係の場合には、非嫡出子ということになります。
ちなみに、近年は「非嫡出子」という言葉が差別的であるとして、「婚外子」と言ったりする場合もありますが、基本的に同じ意味だと思っていただいて結構です。
少し本題からは逸れますが、非嫡出子を語るうえで欠かせないので、ここで「認知」についても解説しておきます。
認知とは、非嫡出子を自身の子であると認めることをいいます。
母親については、自身の子であるというのは明らかですので、認知は男性側が行います。
認知することにより、法律上の親子関係が発生します。
そして子は、以下の2つのことが可能になります。
① 相続
そもそも非嫡出子は、法律上の親子関係が認められていない状態です。
ですので、認知されない限り相続をすることはできません。
認知されることにより、はじめて相続する権利を得るのです。
② 扶養の請求
認知をすれば法律上の親子関係が発生しますから、父親は子に対し扶養の義務を負うことになります。
もし父親が義務を全うしないときは、扶養の請求をすることができます。
先述のとおり、非嫡出子は認知を受けることにより相続することが可能になります。
そして、相続においては、(認知を受けた)非嫡出子は嫡出子と同等に扱われます。
図で解説していきます。
Dさんは、認知された非嫡出子です。
このケースでAさんが亡くなった場合、相続人はBさん、Dさん、Eさんの3名となります。
そしてそれぞれの法定相続分は、Bさんが4分の2、DさんとEさんが4分の1ずつとなります。
非嫡出子であっても、法定相続分は嫡出子と同じです。
ちなみに、以前は嫡出子と非嫡出子で法定相続分が異なっていました。
非嫡出子は、嫡出子の2分の1とされていたので、図でいえば、Bさんが6分の3、Dさんが6分の1、Eさんが6分の2というのがかつての法定相続分でした。
しかし、この非嫡出子の相続分が嫡出子の2分の1であると定めた民法の規定は、不平等であり憲法に違反しているという判決が出され、のちに法改正により削除された、という経緯があります。
ですので、非嫡出子と嫡出子とで同じ相続分という扱いは、法改正により削除されたあとに発生した相続についてのみ適用されます。
つまり、2013年(平成25年)9月5日以後に亡くなった方についての相続が対象であり、それ以前に亡くなった方の相続については従前の相続分が適用されますので、その点はご注意いただければと思います。
掲載日:令和4年5月13日
最終更新日:令和4年5月25日