掲載日:令和3年6月3日
亡くなった方の財産(不動産や預貯金など)や債務(借金など)は相続人が引き継ぐこととなるわけですが、これは相続人が未成年者であったとしても同様です。
ですので、中には相続放棄をしようという結論に至るケースもあるかとは思いますが、未成年者の相続放棄では注意しなければいけない点がありますので、その点についてこれから解説していこうと思います。
父親が亡くなり、相続人が母親と未成年の子の2人であるとしましょう。
未成年の子は単独で相続放棄の手続きをすることができませんので(契約ができないというのと同じ理屈です)、母親が代理して相続放棄をすることになると考えることもできます。
しかし、このケースで母親が子を代理して相続放棄をするとなると、母親は遺産を独り占めすることになってしまいます。
つまり、母親が子を代理することはいわゆる利益相反行為(簡単に言うと、片方の利益になる一方でもう片方には不利益になる行為のことです)に該当するため、母親が子を代理して相続放棄をすることは法律上認められていません。
この点は注意が必要です。
では母親が子を代理して相続放棄することができないとしたらどうすればいいのかという話になりますが、このケースでは、子につき特別代理人と呼ばれる者の選任を家庭裁判所に対してする必要があります。
特別代理人とは、読んで字のごとく相続放棄の手続きをするために特別に選任される代理人のことをいいます。
この特別代理人が、母親に代わり子を代理して相続放棄の手続きをすることになります。
ちなみに、特別代理人は特別な資格が必要なわけでもなく、利害関係人でなければ誰でもなることができます。
一般的には、子から見た祖父母やおじおばがなることが多いです。
先述のケースでは、基本的に母親は子を代理して相続放棄の手続きをすることができませんが、例外もあります。
例えば、母親がすでに相続放棄をしている場合です。
この場合は子が相続放棄をしたとしても母親が遺産を独り占めするということはありませんので、子を代理して相続放棄をしても利益相反行為にはあたらず、特に問題はないということになります。
また、母親と子が同時に相続放棄をするという場合も、利益相反行為に該当することはありませんので、母親は子を代理して相続放棄が可能です。
未成年者の相続放棄は一般の相続放棄とは違い、手続きが複雑だったり判断が難しいところがありますので、専門家に相談されることを強く推奨します。
当事務所でも相続放棄や特別代理人選任の手続きについてご相談いただけます。
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