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発起設立の登記申請で添付する払込みがあったことを証する書面の払込みの時期

発起設立による、株式会社の設立登記には、資本金の払込みを証する書面を添付する必要があります。

 

この場合、設立時代表取締役の作成にかかる払込取扱機関に払い込まれた金額を証する書面に、払込取扱機関における口座の預金通帳の写し等を合綴したものをもって、払込みがあったことを証する書面として取り扱って差し支えないものとされていますが、この度以下のような通知が発せられました。

 

 

【通知】

預金通帳の写し等に記載された払込みの時期については、設立時発行株式に関する事項が定められている定款の作成日または発起人全員の同意があったことを証する書面に記載されているその同意があった日後に払込みがあった場合はもとより、その前に払込みがあった場合でも、発起人または設立時取締役の口座に払い込まれているなど当該設立に際して出資されたものと認められるものであれば、差し支えない(一部改変しています)。

 

 

これまでは、資本金の払込みは定款作成日または発起人の決定の後(あるいは同日)にしなければならないものとされていました。

 

ですので、当職としましても、設立登記を依頼された場合は定款の認証日以降に払込みをするよう依頼人にはお願いしてきました。

 

しかしこれからは、払込みのタイミングについてさほど神経質にならなくてもよさそうです。

 

とはいえ、どこまでが「当該設立に際して出資されたもの」と認められるのか、気になるところです。

 

例えば、資本金300万円の株式会社の設立登記を依頼されたが、依頼を受けた時点ですでに発起人となる方の口座の通帳に500万円の入金が記帳されている場合にはどうなのでしょうか。

 

通知には「発起人または設立時取締役の口座に払い込まれているなど」とあるので、恐らく問題はないのでしょうが、少々怖いところではあります(入金が300万円ちょうどであればともかく)。

 

色々なケースが考えられますから、ぜひ他の司法書士と情報共有したいところです。

 

それにしても、なぜこのような通知が発せられたのでしょうか。

設立登記を司法書士に依頼せずに自分でやっている方が、払込みのタイミングを間違えてしまうケースがあまりにも多かったから、とかですかね?


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