少し前のことですが、元プロ野球選手でタレントの長嶋一茂さんが、テレビで「うちは相続放棄をかなり前にしている」旨の発言をされていたそうで、今回はそのことについて触れようと思います。
この発言、ネット記事でたまたま見かけたのですが、私は強烈な違和感を覚えました。
彼のお父さんは誰もが知る大スター、ミスターこと長嶋茂雄さんであり、本記事執筆時点ではご存命でいらっしゃいます。
しかし、法律上生前に相続放棄はできません。
ですので、私はこの発言を見て「???」となってしまいました。
そもそも相続放棄とは
相続放棄とは、文字通り遺産を相続することを放棄することです。
ここまでは世間の皆さまのおおよその認識で間違いないのですが、相続放棄は家庭裁判所に対し申立てをすることにより行う手続きです。
そして先ほども述べましたが、相続放棄の手続きは、亡くなった後にしかすることができません。
なので、長嶋茂雄さんがご存命である以上、一茂さんは相続放棄はできないはずなのです。
よくある「遺産はいらない」宣言に法的効力はない
生前のうちから「遺産はいらない、興味がない」といった意思表示を周囲に行うこともよくありますが、それには法的効力は全くありません。
ですので、亡くなった後に「やっぱり遺産が欲しい」と翻意したとしても全く問題ありません。
この、いわゆる「遺産いらない宣言」をすることを相続放棄と思っている方がたまにいらっしゃいますが、それは厳密には誤りです。
また、亡くなった後の遺産についての話し合い(遺産分割協議)において、遺産はいらないという意思表示をすることを相続放棄と言う方もいますが、それも誤りです。
この2つについては、あえて言うならば「遺産放棄」とも言ったりしますが、正式名称ではありませんので、使用の際は留意されてください。
少し本題から逸れますが、ではわざわざ家庭裁判所で相続放棄をすることに何の意味があるのかとお考えの方もいるでしょう。
その点については、「そもそも相続放棄とは何か」というコラム記事に記してありますので、興味のある方はぜひ見てみてください。
「相続放棄」について誤解のなきよう
一茂さんが何をもって相続放棄していると発言されたのか分かりません。
ですので、彼の発言についてあれこれ言うつもりは毛頭ありませんが、相続放棄について勘違いや誤解をされている方が多いというのは、この機会にぜひ皆さまにお伝えしておきたいところです。
勘違いや誤解が多いゆえ、トラブルにならないよう気を付けた方がいいでしょう。
どうすればいいか分からないという場合には、司法書士や弁護士に一度相談してみてください。
生前であっても亡くなった後でも、事情をお話しすれば、どうすればいいか適切なアドバイスをしてくれるはずです。
相続放棄はいけべ司法書士事務所にご相談ください
いけべ司法書士事務所でも、相続放棄に関するご相談をお受けいたしております。
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