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改正不登法第70条第2項に規定する方法による調査とは

改正不動産登記法第70条の2では、「権利者は、共同して登記の抹消の申請をすべき法人が解散し、改正不登法第70条第2項に規定する方法により調査を行ってもなおその法人の清算人の所在が判明しないためその法人と共同して先取特権、質権又は抵当権に関する登記の抹消を申請することができない場合において...」と定められています。

 

では、改正不登法第70条第2項に規定する方法とはどのような方法なのでしょうか。

 

改正不登法第70条第2項には、「相当の調査が行われたと認められるものとして法務省令で定める方法」とあり、具体的方法は、不動産登記規則第152条の2で定められています。

 

分かりやすくまとめると、以下のとおりです。

 

 

1.共同して登記の抹消の申請をすべき者の調査として次の①及び②に掲げる措置

① 登記義務者の法人の登記簿を備えると思料される登記所の登記官に対する登記義務者の登記事項証明書の交付の請求

② ①の措置により登記義務者が合併により解散していることが判明した場合には、登記義務者の合併後存続し、又は合併により設立された法人についてとる①に掲げる措置

 

【解説】

まずは、登記義務者の閉鎖登記簿を請求します。

法人の代表者の調査のためですが、法人の解散の日を証する情報も兼ねています。

合併により解散している場合は、存続会社の登記事項証明書を請求します。

 

 

2.1の措置により法人の登記簿に共同して登記の抹消の申請をすべき者の代表者として登記されている者が判明した場合には、当該代表者の調査として当該代表者が記録されている住民基本台帳等を備えると思料される市町村の長に対する当該代表者の住民票の写し等の交付の請求

 

【解説】

代表者とは、共同して登記の抹消の申請をすべき者が合併以外の事由により解散した法人である場合には、その清算人又は管財人となります。

登記された住所の役所役場に対し、住民票や戸籍謄本等の請求をします。

3.共同して登記の抹消の申請をすべき者の所在の調査として書留郵便その他配達を試みたことを証明することができる方法による次の①及び②に掲げる措置

① 登記義務者の不動産の登記簿上の住所に宛ててする登記義務者に対する書面の送付

② 1の措置により共同して登記の抹消の申請をすべき者が所在すると思料される場所が判明した場合には、その場所に宛ててする当該者に対する書面の送付

 

【解説】

登記義務者である法人に対し、不動産の登記簿上の住所宛てに書面を送付します。

市町村合併や住居表示実施に関わらず、登記簿上の住所宛てに送付すればOKです。

また、1の措置により、本店移転しており不動産の登記簿上の住所と相違があることが判明した場合には、移転先に書面を送付します。

 

 

4.1及び2の措置により共同して登記の抹消の申請をすべき者の代表者が判明した場合には、当該代表者の所在の調査として書留郵便その他配達を試みたことを証明することができる方法による次の①及び②に掲げる措置

① 共同して登記の抹消の申請をすべき者の法人の登記簿上の代表者の住所に宛ててする当該代表者に対する書面の送付

② 1及び2の措置により当該代表者が所在すると思料される場所が判明した場合には、その場所に宛ててする当該代表者に対する書面の送付

 

【解説】

法人の登記簿上に記載された代表者の住所に宛てて、当該代表者に対し書面を送付します。

また、住民票等の交付請求により、当該代表者が所在すると思料される場所が判明した場合には、その場所に対して書面を送付します。


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