役員の任期が満了し役員の交代があるという場合、役員変更登記が必要だということは当然です。
しかし、それだけではありません。
たとえこれまでの役員が任期満了後も変わらず役員を続けていくとしても、一度任期が満了しているため、いわゆる更新の登記手続きが必要となります。
この登記手続きを重任の登記といいます。
実体上は、一度任期が満了したうえで再任されているため、そのことをきちんと登記簿に反映させなければならないのです。
いずれにせよ、役員の任期が満了したら登記手続きは避けられないということは頭に入れておいてください。
ちなみに、役員の任期を気にしなければならないのは株式会社の場合です。
有限会社の役員は法律上任期がありませんので、有限会社の場合は何も気にする必要はありません。
重任の登記を怠った場合の一番の問題は、裁判所から過料が課せられる可能性があることです。
会社の登記事項に変更があった場合は、2週間以内に変更の登記をしなければならないとされています。
以下は会社法第915条第1項の条文です(一部注釈)。
会社において第911条第3項各号又は前3条各号に掲げる事項(要は登記簿に記載されている事項です)に変更が生じたときは、2週間以内に、その本店の所在地において、変更の登記をしなければならない。
この2週間の期限を守らないでいると、裁判所から過料が課せられる可能性があります。
とはいえ、そこまで厳しく取り扱われているわけでもなく、1日過ぎただけとか、1週間1ヶ月程度であれば基本的に過料が課せられる可能性は極めて低いです。
ただ、だからといって後回しにしてしまうのは絶対にやめましょう。
いずれしないといけないことですし、結局忘れてしまって数年経ってしまったということにもなりかねないので、早めに登記を済ませるようにしてください。
役員の任期がいつ満了するかは、これからお話しする2つの書類を確認することで把握ができますので、自分の会社は大丈夫と思わず、これを機に今一度確認しておきましょう。
もし分からないという場合は、司法書士にご相談ください。
まずは会社の定款を確認しましょう。
定款には、役員の任期に関する記載があるはずです。
役員の任期は、原則として取締役が2年、監査役が4年ですが、定款の規定により取締役及び監査役ともに最長10年とすることができます。
定款の記載が何年になっているか、探してみてください。
定款で任期が何年が確認したら、次は会社の登記簿謄本をチェックです。
株式会社の登記簿謄本には、「役員に関する事項」という欄があり、そこに取締役や監査役の氏名、代表取締役の氏名と住所が記載されています。
役員の氏名等が記載された枠の右下に、「○○年○○月○○日就任(あるいは重任)」といった記載があるかと思います。
その日付と役員の任期を照らし合わせれば、任期が満了しているかどうかが分かります。
もしなにも記載がなければ、会社を設立してから一度も役員の登記をしていないということです。
その場合は、会社の設立日を基準に確認しましょう。
法務省は、定期的に休眠会社の整理作業というのをしています。
休眠会社とは何かというと、最後に登記をしてから12年が経過している株式会社のことをいいます。
そして、その休眠会社について、法務大臣の公告を行い、管轄法務局から通知書の発送を行います。
その通知書には、まだ事業を廃止していない旨の届出を2ヶ月以内に管轄法務局にしなければならないと記載されています。
もし届出がなく、または登記の申請もされなければ、なんと勝手に解散の登記をされてしまいます。
これが休眠会社の整理作業です。
一度解散の登記をされてしまうと、対処がかなり面倒です(登記もですが、会計の関係でも色々大変なようです)。
なにより、かかる費用がかなり高額となります。
登記手続きを司法書士に依頼すれば、数十万は下りません。
くれぐれもご注意いただければと思います。
掲載日:令和3年4月21日
最終更新日:令和6年6月28日