自宅や土地などといった不動産を、相続や生前贈与で名義変更をする際には税金が発生します。
具体的に言うと、相続においては、
① 登録免許税
② 相続税
一方、生前贈与においては、
① 登録免許税
② 不動産取得税
③ 贈与税
が発生します。
登録免許税とは、法務局(登記所)に名義変更の申請をする際に支払う税金(いわゆる印紙代)のことをいい、相続でも生前贈与でも共通して発生する税金です。
今回は、そんな登録免許税について解説します。
名義変更の手続きだけで比較した場合、相続と生前贈与でどのくらい費用に違いがあるのか、みていきましょう。
登録免許税は、名義変更する不動産の固定資産税評価額を基に算出します。
固定資産税評価額とは、不動産の価格のひとつであり、その名のとおり固定資産税を算出するための基礎となる価格のことです。
毎年役所や役場から送られてくる固定資産税の納税通知書にも記載されていますので、ぜひ見てみてください。
話しが少し逸れましたが、固定資産税のみならず、登録免許税も固定資産税評価額を基に算出します。
具体的には、固定資産税評価額に決められた税率をかけることで算出するのですが、実は相続と生前贈与でかける税率に違いがあります。
相続での名義変更であれば、固定資産税評価額の0.4%が登録免許税となります。
一方、生前贈与での名義変更では、固定資産税評価額の2%が登録免許税です。
実際はもう少し細かい計算方法なのですが、それについては割愛します。
いかがでしょうか、単純計算でも5倍の差があるのです。
仮に固定資産税評価額が500万円だとすると、相続での名義変更なら2万円ですが、生前贈与であれば10万円もかかってしまいます。
2万円であれば許容範囲内としても、10万円かかるとなるとぎょっとしてしまう方は多いのではないでしょうか。
ここまで、名義変更をする際に支払う登録免許税の話をしてきました。
ただ、名義変更の際の費用としては、それとは別に手続きを司法書士に依頼した場合の報酬というのも考えておく必要があります。
この点、司法書士への報酬はその司法書士が自由に決めることができるので一概には言えません。
しかし、私の場合は相続でも生前贈与でも、報酬の額にそこまで開きはありません(案件の具体的内容によって変わってくる点はご留意ください)。
恐らくですが、報酬に関しては私と同様の司法書士が多いはずです。
ですので、結局は登録免許税の差が名義変更の費用の差に直結するということになると思われます。
いかがだったでしょうか。
名義変更の手続きだけで比較した場合、一般的には生前贈与での名義変更は相続よりも費用がかかってきます。
実はこの「生前贈与は相続より費用がかかる」という事実、相続対策などさまざまな場面で重要な意味を持ってきますので、ぜひ覚えておいてください。
(参考記事:相続した自宅は母と子どちらの名義に変更すべきか)
掲載日:令和4年3月9日
最終更新日:令和4年3月14日